DTF(Direct To Film)プリントとは、近年デジタルプリント業界で注目を集めているプリント方法の一つです。
エコラボジャパンでは、ノベルティ(販促品)への名入れやオリジナルグッズ製作のニーズにお応えすべく、最先端の転写印刷が行える『DTFプリンター』を導入しました。

これまでに、エコバッグやブランケットをはじめとする多くのノベルティ、販促品にプリントしてきました。
その鮮明な印刷に、一部のお客様からリピートオーダーをいただくほどの評価を得ております。
本記事では、2年以上に及ぶ著者の経験に基づき、DTFプリントの仕組みからメリット・デメリットなどをご紹介します。
2024年、プラスチック成型物など立体的な物へのフルカラー印刷ができる UVDTF転写印刷機 を導入しました! これにより、フルカラー印刷できる商品ラインナップが格段に広がりました。


UVDTFについてより詳しく知りたい方は、ぜひ以下記事も合わせてご覧ください。

DTFプリントとは「新しい熱転写印刷」
DTFプリントとは、熱転写印刷の1つです。
DTG(Direct To Garment)プリントのように、デザインを衣料品や布地に直接印刷しません。
まず特殊なシートにデザインをプリントしてから、熱プレスでシート上のデザインを対象物に転写することでプリントします。
ざっくり違いを述べると、転写シートの作り方が異なります。
- 従来の熱転写印刷
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あらかじめ特殊な糊が付いているシートに、デザインを印刷
- DTFプリント
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糊が付いていないシートにデザインを印刷し、デザイン上に糊付けを行う
従来の方法では、もともとシート全体に糊が塗布されているシートを使うため、デザインが印刷されていない部分は除去(カス取りやリタック)する必要がありました。
一方、DTFプリントでは、デザイン部分のみに糊を塗布するため、このような除去工程は不要です。
また、使用する糊の量も最小限になり、材料面のコストカットにもなります。
DTFプリントの手順
STEP1~4を纏めた動画はこちら
CMYKインクを使って、フィルム上にデザインをプリントします。
STEP1でプリントしたデザインの上に、白インクを塗布します。
白インクは、STEP3で糊パウダーを塗布するときに必要です。

まずCMYKインクで印刷し、その後デザイン全体に白インクを塗布します。
デザインが白色の部分はこの段階でプリントされます。
デザインがプリントされたシート上に、糊パウダーを振りかけます。
パウダーは白インク部分(=デザイン部分)のみに付着します。
デザイン以外の部分に糊は不要なため、振動で弾き落とします。

パウダーがデザイン(インク)の上にひっつきます。
弾き落とした糊パウダーは後で回収し再利用するため、無駄になりません。
パウダーが付着したシートを乾燥機に通し、パウダーを溶解 ⇒ 硬化させます。
これで転写シートの完成です。


エコラボジャパンのDTFプリンターでは、STEP1~4までのプロセスを連続で実行します。
シートができたら、あとは基本的に従来の熱転写印刷と同じです。
作成した転写シートを適当なサイズにカット&印刷対象物の上にセットし、熱プレスを行います。
シート上のデザインがグッズへ転写し、プリント完了です。
DTFプリントの特徴
DTFプリントは、 少量 を 短期間 で、 高品質 な フルカラー デザインを印刷したい場合に適しています。
一方、大量生産時での短納期対応や、品質よりコストダウンを求める場合には、シルク印刷など他のプリント方法が望ましいです。
- 素材の多様性
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コットン、ポリエステル、ナイロン、不織布などの繊維素材に印刷できます。
(紙など、繊維以外に印刷できる場合もあります。) - 高品質プリント
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シルク印刷よりも鮮明にデザインを印刷できます。
またフルカラーに対応しており、グラデーションもきれいに再現できます。 - 高耐久性
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洗濯や摩擦などによって色あせしにくいです。
- 小ロット対応
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「版」が不要ですぐ印刷工程に進められるため、小ロットの印刷に向いています。
(1個でも印刷対応可能です。) - 低工数
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従来の熱転写に比べて手間が少なく、生産性が高いです。
- 表面が平らの繊維素材のみ対応
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ペンやタンブラーなど、表面が湾曲していて平らでない素材へは印刷できません。これらへの印刷は パッド印刷 が適しています。
また、表面が平でも繊維以外の素材(プラスチックやガラスなど)へは、原則印刷できません。パッド印刷やインクジェット印刷で対応することになります。
- 低印刷スピード
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従来の熱転写よりは効率的ですが、「フィルムへの印刷」と「熱転写」の2ステップである点は変わらないため、DTGプリントやシルク印刷に比べると手間が掛かります。
- プレス跡残り
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これも熱転写特有のデメリットですが、印刷対象の素材によってはプレス跡が残る場合があります。(レザーや紙、PVAなどは特に残りやすいです。)
PVA(ビニル素材)へ転写印刷した場合のプレス跡の例